教科書と





……ヤバイ。
数学の教科書忘れちゃった。
数学なんて、何もしなくても分かんないのに。
教科書なかったらさっぱりだよ。

「いーのーりー!」
私は隣のクラスのドアを勢いよく開けた。
猪里猛臣、野球部のレギュラーで九州弁の可愛いらしい男の子。
何故彼を呼んだかというと
1.私が野球部のマネージャーで彼と仲がいいから。
2.実は彼のことが好きだから。
勿論どっちもあってるの。
でも、まあ強いてもう1つ付け加えるなら。
3.虎鉄はあてにならん。
「どうしたっちゃ?」
「あのね、次の5限数学なんだけど教科書忘れちゃって……。猪里お願い貸してくれない?」
「……いいっちゃよ。」
少し前を開けて、猪里はいつも通りの笑顔を私に向けた。
可愛すぎっっ!!
「ありがとう!!」
私は思わず猪里に抱きついた。
離すっちゃっ///」
嗚呼、猪里があわててる。
やっぱり可愛いなあ。
「はい、これっちゃ。」
そういって猪里が私に教科書を渡す。
「ありがとうvえーっと、何時返せばいいかな?」
「いつでもいいっちゃよ」
「んっと、じゃあ放課後返しにくるねvじゃあね」
手を振って私は自分の教室に入った。
手を振り返していた猪里に一つの影が近づく。
同じく野球部レギュラーの虎鉄大河。
「いいのかYoー?貸しちまっTe。」
虎鉄は静かに言った。
「いいっちゃ。困ってるのにほっとけなか。」
そらそうだけどSaー。そういいながら虎鉄は自分の席に戻っていった。

放課後。
猪里の教科書のおかげで助かっちゃった。
何やらいろいろ書き込みもしてたみたいですっごく分かり易かったし。
今度教えてもらおうかなー。
「あっ猪里♪」
猪里と虎鉄はちょうど教室を出ようとしていたところだった。
「俺のことは無視かYoー。」
とか言いながら虎鉄は先に行った。
「これありがとうー。すっごく助かっちゃったv」
そういって教科書を差し出した。
「それはよかったっちゃ」
猪里は教科書を受け取り鞄に入れた。
「猪里ってもしかして置き勉とかしないの?」
だって、鞄になおしてるし。
「してないっちゃ。はしてると?」
「うん、まぁね。」
私なんてほぼ全教科おいてるよ。
「ってことは今日猪里も数学あったんだねー。何限?」
そういって教室に貼ってある時間割を見た。
「えっ……。」
そこには5限数学と書かれてあった。
「もしかしなくても猪里も5限数学?」
少し困ったように猪里はうなずく。
そっかー、先生違うもんね。
そういうこともあるよね。
「それなら猪里困ったでしょう?」
「俺は平気やけー。それに……」
「それに……?」
「好いとう子が困ってたら助けてあげたいって思うとよ///」
そういった猪里の顔は確かに赤かったと思う。
すいとうー水筒?
「えっえ?」
「俺ずっとのこと好きやったと。」
だから気にしんとって。と猪里は言って去ろうとした。
「やっ、やっぱり駄目だよ。」
猪里の学生服の袖を引っ張っていった。
「お詫びに今度何か奢るよ」
「でも、悪いっちゃ」
「私の気が済まないから!また電話するよ。」
それじゃあ、と私は急いで部室の方へ走った。
「嬉しいっちゃv///」

その日の部活、終始笑顔の猪里がいたとかいないのとか。
 END

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似非九州弁(汗


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