Trick
or
Treat!
事の始まりは一本の電話。
帰宅しようと思って机から立ち上がろうとした時携帯が鳴った。
発信先は蛭魔 妖一。
できればこのまま留守電に回したいところ。
いや、むしろ受信拒否か。
でも、でなかったらでなかったで後が怖いだろうな……。
『Ya−ha−!』
おそるおそるでた電話の第一声がそれか!
「……もしもし」
少し不機嫌そうに言ってみた。
『今すぐ部室に来い。1分以内だ』
「えっちょっと、なんで私がーーー……。」
プープープー。
切りやがった、あの男。
私は急いで鞄を持って教室を出た。
もちろん、ヒル魔が言ってた部室に行くために。
ほんと、振り回されてるなぁ私。
「遅せぇよ。」
急いで部室のドアを開けた私にヒル魔はそう言い放った。
あのねぇ、私がいた教室からここまで頑張って走ってきたのよ。
そもそも1分以内にこれるわけがないでしょう。
「まあ、たとえでもあの距離じゃこんなもんだろうがな」
ヒル魔はそうつぶやいた。
「ちょっとなんで! もしかしたら見てたの!?」
私の台詞を聞いてにやりと笑うヒル魔。
やっぱりか……。
道理でタイミング良く電話がかかってきたはずだ。
この野郎……。
部室から出ようとする私。
「ちょっとのいてよ。」
それを邪魔するヒル魔。
「Trick or Treat!」
「はっ?……ああ、今日はハロウィーンね。でも、お菓子って言っても飴玉位しかないけど。」
ポケットからいちごみるくと書かれた飴を取り出す。
「でも、これは私が食べるから駄目〜!」
べーっと舌を出して飴を食べる動作をする。
あれ、止めないんだ。
じゃあいいや。
飴を口に入れたとたんにその手を捕まれた。
「……ん〜〜〜!!」
飴取られましたとも。
ええ、見事に。
「……甘めぇ」
そういって部室を出て行くヒル魔。
ああ、そうでしょうとも私のいちごみるく。
「おい、。」
えっあっ私のことですか?
ヒル魔を見ると私が思ったことを見透かしたように。
「お前しかいないだろうが。」
「そういや、そうだね……。」
「……帰るぞ」
「なんであんたと一緒に帰らなくちゃならないのよ!」
「……飴返そうか?」
にやにやしながらおかしそうに言う。
「一緒に帰らさせてください!!」
結局甘すぎると言うことで飴は返されました。
END
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