抜合宿



「ねぇ、なにしてるの?」
そう、たどたどしい日本語で彼はそういった。
「きみはだれ?」
そう返した僕の日本語もたどたどしかったけど。
「ぼくはね……。きみは?」
「えちぜん
?よろしくね」
「うん。ねぇ、それなに?」
僕が彼の持っているテニスボールとは比べものにならないくらい大きなボールを指さすと
彼はきょとんとした顔で知らないの?って聞いた。
「うん」
「じゃあ、おしえてあげる。いっしょにやろう!」



「久しぶりに見た……」
先ほどまでの懐かしい映像はどうやら夢だったみたいで。
少しの寂しさと嬉しさの相反する思いを僕にもたらしてくれた。
「あっ、時間がやばい!!」
あわてて飛び起きる。
同室の一成はもう、部活に行ったみたいで机には
『がんばれよ』と書かれたメモだけが置かれていた。
「……ありがとう」
そう呟いて後、時計を見て焦った。
やばい、待ち合わせ時間に遅れる!!
そう思って、僕は昨日一生懸命詰め込んだ鞄と片割れとおそろいの白いキャップをかぶった。

「すみません!」
急いで向かったにもかかわらず、すでに皆そろっていた。
ーーー!!」
僕の名前を呼びながら抱きついてくるのは藤代先輩。
「あっ、藤代先輩おはようございます」
「おはよー☆」
「誠二、いつまでくっついてるの?」
そういってぺりって藤代先輩をはがしてくれたのは笠井先輩。
実はちょっと苦しかったんで助かりました。
「笠井先輩、おはようございます」
「おはよう、気をつけていっておいで?」
そういって笠井先輩は優しく笑ってくれます。
「はい!頑張ってきます」
「さぁ、そろそろ時間がないぞ」
「ったく、いつまでもさわいでんじゃねーぞ、バカ代」
「ひどいっすよ、三上先輩!」
「おはようございます、渋沢先輩、三上先輩」
「ああ、おはよう」
「はよ、おせーんだよ、お前は」
「すいません、寝坊しちゃって」
「とにかく、行こう。じゃあ、後は頼んだぞ、笠井」
そういった渋沢先輩に、笠井先輩は力強く頷いて送り出してくれた。
行ってきます、笠井先輩!
僕はさりげなく歩き出した間宮先輩の隣によっていった。
「おはようございます、間宮先輩」
そう言えば、間宮先輩は必ずコクンと頷いてくれるから。

僕たちは、東京選抜とやらの会場へ向かっていった。
よくわからないんだけど、選ばれたって言うのはすごいことらしい。
(でも、笠井先輩は断ったらしい)
藤代先輩が言うには、強いやつがいっぱいいるらしい。
早く戦ってみたいー!
渋沢先輩が言うには、今回の選抜に残ればトレセン?とか言うやつで
他の地方の人とも戦えるらしい。
三上先輩が言うには、水野竜也だけにはぜってー負けねぇ!らしい。
そういえば、三上先輩のライバルなんだっけ?
間宮先輩が言うには、たくさんサッカーができるんだって。
すっごく楽しみだ!

END


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