優先順位は
楽
しさ
合宿所についてすぐ目に入ったのは天然芝。
次に見えたのは、集まったサッカー少年達。
そして、偉そうなおっさんに、玲さん。
「特にBの奴ら、お前達は俺の中では補欠だ」
ふーん。
そんなこと言うんだ。
むかつく。
「以上で説明は終わりです、何か質問のある人はどうぞ」
玲さんがそういったので、僕は手を挙げる。
「なにかしら、越前君」
にこっと、笑いながら聞いてくる。
「僕、AよりBの方が良いんですけど」
僕がそういったとたんに、皆が騒ぎ出した。
三上先輩が『何考えてんだ!』と言ってても。
藤代先輩が『なんでなんで、そんな事言うのさ〜〜!!』てわめいてても。
渋沢先輩が『とりあえず、落ち着いて話そう?』と問いかけてきても。
とりあえず僕よりもあなたが落ち着いてください、渋沢先輩
他の奴ら『あいつ、選抜なめてんじゃねーの!?』ってこそこそ言ってても。
風祭先輩や水野さんや驚いた顔して僕を見てても。
僕はただ、にやりと笑うだけ。
「なっ、何を考えているんだ!君はAの中でも飛び抜けて……」
「何を考えているの?越前君」
あわてているおっさんの台詞を、相変わらずの笑顔で玲さんは遮る。
「別に、ただそっちの方が楽しそうなだけ」
僕の台詞に、渋沢先輩は固まりかけてた。
あわてて、藤代先輩が『大丈夫っすか、キャプテンー!!』と渋沢先輩を支える。
「どうしてそう思うか聞いても良いかしら?」
くすくすと玲さんが聞いてくる。
楽しそうだよね。
僕の憶測でしかないんだけど、Aのチームを選んだのはそっちのおっさんで、
Bを選んだのは玲さんだろ?
Aはたぶん、U−14とか有名な学校の奴らじゃない?
僕にはよくわかんないんだけど。
まだ、こっちに来て間もないし、他の学校なんて気にしちゃいられない。
んで、Bには結構ばらつきがあるみたいだね。
でも、選抜に選ばれるくらいだからきっと『何か』を持っているはずだよ。
選ばれるだけの何か。
さしずめ、風祭先輩なら将来性を買われたって所なんじゃない?
「なんとなく」
そこまで言い終えると、周りは静かになっていた。
渋沢先輩は固まっていたし、藤代先輩はどうしようというような表情をしていた。
おっさんですら固まっていた中で、楽しそうにしていたのは玲さんと翼だけだった。
あっ、あとマサキもか。
「いいでしょう、越前君はBに入って頂戴」
にこりと笑われた。
横で何か抗議しているおっさんに、有無を言わせない態度を見ると此処で一番強いのはあの人なんだな。
玲さんの台詞に、ふっと笑った。
解散っと言う声で、本来ならおのおの動き出すはずが誰も動こうとはしなかった。
っていうか、痛いくらいに視線を感じる。
「うわーん、!!」
いきなり、誰かに飛びかかられた。
誰かって言うか、藤代先輩。
今現在思いっきり抱きしめられてるのは、身長の所為。
にゃろう。
「藤代、が困っているだろう?」
そういって、見事藤代先輩をはがしてくれた渋沢先輩。
「だってだってー、俺と一緒に練習するのすっごい楽しみにしてたんすよ!」
それなのに〜、とうなだれる藤代先輩。
「ったく、何やってんだよお前は」
そういわれて、三上先輩にくしゃりと頭をなでられた。
「わかってんだろーな?」
絶対残れよ。
そういってデビスマを見せてくる三上先輩に、僕も応戦して不敵に笑う。
「当然」
そういったら、また撫でられた。
END
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