都選合宿


あの後、未だにパニくってる水野を置いて一足先にミーティングルームへ向かった。
入った瞬間、何故か注目された。
とりあえず、見知った顔を発見したので近づこうかと思ったけど。
皆はここに遊びに来たわけではないから、やめておいた。
「最後に、マネージャーのだ」
偉そうな監督の紹介を受けて、私はぺこりと頭だけ下げた。
顔を上げたとき、驚いた水野君の顔が見えたが気にしないでおこう。
うん、気にしたら負けだ。
「すみませ〜ん」
監督が説明している最中に入ってきたのは同じ歳くらいの女の子。
「遅かったな桜、こっちだ」
にこにこと笑いながら、監督は女の子に言った。
さっきの選手達とはやけに態度が違うんだね。
「遅れちゃってごめんなさい、寝坊しちゃって」
てへっと言う感じでその子は笑う。
ふーん。
「私の姪でもう一人のマネージャーをしてもらう」
「山吹桜です、よろしくね」
にっこりと笑いながら、選手達に挨拶をする。
ねぇ、西園寺さん。
今すぐ帰っても良いですか?

ちゃん、そういえば忘れ物してたわよ」
そういって渡してくれたのはスケッチブック。
「あっ、すいません」
あわてて受け取った。
恥ずかしい。
「もう一人マネージャーが居ること言って無くてごめんなさいね」
「いえ、でもあの人が居るんなら私が来る必要なかったんじゃないですか?」
「いいえ、そんなこと無いわ」
西園寺さんはにっこりと笑った。
「今から技能テストだからね」
そうして去って行った。
私は手伝わなくて良いのかな?
そう思ったけど、どうやらそうはできないみたい。
!!」
だって、怒ってる声で私の名前を呼ぶ水野君が立っている。
その所為で思いっきり注目されてる。
「何?」
「どーいうことだよ、マネージャーだなんて!」
それはあなたの彼女に聞いてください。
「そのまんまの意味」
「そーいうことじゃなくて、何で言わなかったんだよ」
「……言わないといけなかったの?」
「っ!俺は、キャプテンなんだから報告ぐらいしてくれても良いだろ!」
ああ、そういう事ね。
でも。
「……水野くん、忘れてない?」
「……何がだよ」
なんか、拗ねてる。
「……私、美術部だよ?サッカー部の人間じゃないよ?」
「あっ……」
私がそういうと、水野君はカァァァと赤くなった。
「完全に忘れていたな」
「でも、僕も忘れかけてたよ。いつもいるから」
そうだね〜、何故か作戦会議とかも出てるもんね。
時折、自分でもマネージャー化してるかな?とは思うんだけど。

そんなことを考えてると後ろから声をかけられた。
後ろを振り返るといるのは幼馴染み。
「克ちゃん!」
思わず、抱きついた。
「はっ、あっごめん」
つい、昔の癖で抱きついちゃったのは良いけど周りの注目を思いっきり浴びた。
元々浴びてたけど。
少し焦った私に克ちゃんはいつもと同じ笑顔でぽんぽんと頭を撫でてくれた。
「まさか、こんなところで会うとは思わなかったよ」
「私も来るつもりはなかったよ」
本気で。
そういうと、ははっと苦笑いを返してくれた。
ふと隣を見ると、素敵なくらい笑顔の藤代君。
ちゃん久しぶり〜〜」
「久しぶり」
そう返すと、笑顔からしょぼんとした顔になった。
「ええー、俺には抱きついてくれないの!?」
……抱きついて欲しかったの?
怪訝そうな顔をすると、藤代君はちぇって拗ねた。




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