クラスメートはサッカー

2




「あなた、この間の……?」
「はじめまして、小島有希さん?」

本当に偶然。
たまたま、昼休みに担任に呼ばれて戻る途中中庭を通った時だった。
やけに不機嫌な声が聞こえた。
ちょっと気になったから、覗いてみることにした。

「一体どう言って取り入ったか知らないけどマネージャーなんかして、どう言うつもりなの!」
「だいたい、抜け駆け禁止ってルール知らないの!」
「あんたなんて迷惑なのよ!さっさとサッカー部止めなさい」
「水野君に取り入ろうったってそうはいかないわよ!」

よくもまあこんなにも口が回るもんだね。
マネージャー、水野君ってことは小島さんか。
どうせ今回が初めてじゃないんだろうな〜。
よく耐えてるな〜。

「ねぇ、そんな事して何が楽しいの?」
こっそり覗いてたけど、とりあえず向こう側から見える位置に移動した。
5人か……。
取り囲むように立ってて肝心の小島さんが見えない。
私が声をかけると、5人がはじかれたようにこちらを見た。
見たところ同じ学年か。
「あっ、さん!」
そのうちの一人が私の名前を言った。
誰?
知り合いではないと思う。
ってあの噂の!?」
「やばっ……」
よくわからないけど、女の子達が去ってくれたのでよしとしよう。
「じゃあね」
じっとこっちを見てる小島さんを残して私はそこから立ち去った。

「ちょっと、きて!」
小島さんは不破達をかき分け、私の前まで来ると腕を引っ張ってどこかへ行くように促した。
水野君がなんか言ってたけど、無視なんだね。
まぁ、別にいいんだけど。
連れてこられたのは校舎裏。
人が居ないがどうかきょろきょろ確かめる小島さん。
「えーと、何?」
とりあえず何か用かと尋ねたら、きっと睨まれた。
何かしただろうか?
「何しに来たの!?」
「は?」
「この間のこといいに来たの?」
「いや、ちがっ」
「悪いけど、それなら帰ってくれる?」
私の声を遮ってますます睨み付けてくる小島さんに苦笑しながら溜息を一つついた。
「私ね、不破を見に来たの。
部活のスケッチと言う名目で近くで見学できてるんだけど」
「へっ?」
「だからね、この間のこと何で隠したいかは知らないけど言うつもりなんて無いの」
少なくとも、サッカー部には。
「そう、なの?」
「でも、どうしてそんなに知られたくないの?」
「……だって悔しいじゃない。
あんな奴らに負けるなんて」
そう言い放った小島さんの眼には強い光が宿っていた。
「さて、そろそろ戻らないと」
そう言えば、小島さんもゴメンと言って歩き出す。
よ、小島さん」
「有希でいいわ。
私もって呼ぶから」
「改めてよろしく、有希」
振り返ってそう言えば、有希もよろしくと返してくれた。

ふーん、噂とは随分違うんだねぇ。



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