王子様とお姫様
1
「、何故水野が王子なのだ?」
「はぁ?何を唐突に」
何を言い出すかと思えば。
「クラスの女子が言っていた。
しかしいくら考えても分からん」
「そう言うことか。
うーん、分からないことはないけど」
「分かるのか?」
何だろう、不破の目がキュピーンと光った気が、した。
「要は女子に優しいしかっこいいし、おとぎ話に出てくる王子様みたいってことでしょ」
「そうなのか?」
ふむと言いながら再び考察モードに入る不破。
「
もそう思ってるのか?」
不意に不破に質問された。
「確かに、王子とは呼んでるけど思ってないよ。
それに王子様にはすでにお姫様がいるみたいだし」
私の答えに不破はそうかと答えた。
心なしか不破が嬉しそうな気がするのは気のせいかなぁ。
表情のわかりにくいクラスメートだが大分分かるようになってきたと思う。
「不破、そろそろ部活に行かなくて良いの?」
「今から行く」
そう言って不破は教室を出て行った。
未だぶつぶつと考えてはいたが。
結局なんだったんだろう。
そんなことを考えながら私も部活に向かった。
美術室の準備室に入り自分の名前の書かれてある引き出しから
スケッチブックを取り出した後グランドに向かった。
「アンタも毎日良く書いてるわね〜」
ふとスケッチブックに影が出来たので顔を上げると女子サッカー部の有希が居た。
「楽しいの?」
気がつけばもう練習が終わる時間帯だった。
「楽しいよ?お姫様」
私の台詞に訳が分からないといった表情の有希をそのままにして、
道具を持ってその場を立ち去った。
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