王子様とお姫様
2
部活が終わって部室で着替えている時にふと不破が口を開いた。
「ところで、水野のお姫様とは誰なのだ?」
「はぁ!?」
水野の声に反応して皆の視線が水野の方へ集まる。
「水野のお姫様とは誰なのだ?」
「不破ッ、お前、何言って……」
「何や面白そうな話してるやん、センセ」
焦っている水野の肩に手を置くシゲ。
妙に楽しそうだ。
「シゲ、放せ!
不破、一体何の話をしてるんだ?」
少し落ち着いてきた水野がシゲの手を払い不破に聞いた。
「ふむ、今日クラスの女子が水野のことを『王子様』と呼んでいたのだ」
「それならうちのクラスの奴も言うてんで」
「それで、何故そうなのかに聞いたところ教えてくれたのだ」
「それがどうして『お姫様』に飛ぶんだよ!?」
呆れ気味に水野が言う。
「に、もそう思っているのか聞いたところ、
『王子様にはすでにお姫様が居るみたい』だと言ったのだ」
「なっ!」
不破がそう言った途端水野の顔に朱色が帯びた。
「へぇ、ちゃんもよう見とるんやなぁ」
感心したように呟くシゲ。
「佐藤は誰か分かるのか?」
「そりゃあ、まあな」
不破に答えつつ、にやにやと水野をからかうシゲ。
コンコン。
「はい、あっさん。」
ノックの音に対して風祭がドアを開ける。
ドアの向こうにいたのは先ほどから名前の挙がっていただった。
「何か騒がしいね?」
「!」
「何よ、王子?」
「王子って呼ぶなって言ってんだろ!
……ってそうじゃなくて、何で、いや、あの」
何か言いたげな水野に、何が言いたいのかさっぱり分からないだった。
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