試合当日。
野呂君の自殺点により点が入ってしまった。
きついな。
今だって、一人離れて座ってる。
「不破」
そんな野呂君を気にしてる不破に声をかけてみる。
「な、何だ?」
不意をつかれたからか、珍しくどもってる。
「私が、寂しいとか悲しいとかそういう時一番に気づくのは決まって不破なんだよ。
人の気持ちがわからないなんて言わせないから」
だから、行っておいで?
そういってとんっと背中を押すと、うむと頷いてそそくさと野呂君の方へ向かった。
正直者め。
横を見れば、水野君があわててた。
「不破君に任せてみようよ」
その水野君を引き留めたのは風祭君。
「でも……」
それでも不安そうに王子は言いごもる。
「大丈夫だよ、不破だって馬鹿じゃない」
不破だって馬鹿じゃない。
ここで、野呂君をますます落ち込むようなことは言わない。
「少しは信じてあげなよチームメイトをさ、ねぇキャプテン?」
そう言ってにっこりと水野君に笑いかけた。
まだまだ、足りない部分はたくさんあるかもしれない。
不安要素はたくさんあるかもしれない。
けど、この試合……
「勝てない試合じゃないよ」
負けるつもりじゃないでしょう?
だから、諦めないでよ。
「っああ、わかってる」
「そうやで、タツボン。
俺等はこんなところで負けるわけにはいかへん、武蔵野森と戦うためにもな」
水野君が頷き、佐藤君も付け足す。
おかげで、少しは部員の雰囲気も変わったようだ。
武蔵野森と戦いたいのなら、こんなところで負けるわけにはいかない。
それに、このまま負けてしまったら野呂君は二度とサッカー部に戻ってこない。
だから、負けるわけにはいかないのよ。



NEXT

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送