「きゃー!!」
試合の終了を告げるホイッスルがなった直後隣の有希に抱きつかれた。
ちょっと、倒れそうになってあわてて体制を整える。
グラウンドをみると、なんだか物足りない様子なメンバー達。
あれだけ楽しそうにプレーしてたから勝ち負けなんか忘れてたんだろうなぁ。
「こんなことしてる場合じゃないわ!」
そういってあわててタオルやらドリンクやらを配りだした。
人倒しそうになって、こんなことってひどいね。
とにかく、私も行きますか。
ぼうっとしてる野呂君に近づく。
「あっ、先輩」
気まずそうにするのは昨日の事があるからか。
「お疲れ様」
そう言ってタオルとドリンクを渡すと、おずおずと受け取った。
「あの、僕、ー……」
「一回失敗した事って普通もう一度挑戦できないよ」
謝ろうとする野呂君の台詞を遮って言う。
「すいません、僕」
「怒ってる訳じゃないよ、褒めてるんだし」
「えっ……!?」
「すごいね、普通怖くなっちゃったりして出来ないよ」
そう言いながら、鞄から非常食用に持っていたプッチンプリンを取り出して差し出す。
「あげる」
「へっ?」
「さしずめ頑張ったご褒美と言ったところかな。
これしかなくて悪いんだけど」
そういうと野呂君はブンブンと首を横に振った。
「僕、これ好きなんです!」
そう言って野呂君は受け取ってくれた。
先輩も好きなんですか?」
「うん、甘いものは基本的に好き」
幸せな気分になるから。
うん、でも良かった。
これで、野呂君がサッカーを止めることはない。
「本当にお疲れ、良かったね」
先ほどから少し離れたところで此方を見ていた不破に、そう言った。



オマケ

END

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