都選合宿
3

さぁ、選抜合宿の始まりだ。


技術テストも気になるけど、ぼけーと見ては居られないのでとにかく
ドリンクとタオルの準備をしに移動した。
もう一人に声をかけたけど、あっそうと言われただけだった。
やっぱり仕事する気はないんだ。
上水のサッカー部には居ないタイプ。
上水から誰か借りてきた方が良かったんじゃあないかな。
上水じゃなくても他の学校とか。
……なんて今更言っても仕様がないか。
タオルはあらかじめ用意されてあったので、後はドリンク。
ドリンクはよく有希がしてるのを見てたし、数える程度だけど手伝ったこともある。
だから作り方は分かるし、実際に作れた。
でも、これだけの量を一人で運べと?
ああ、本格的に帰りたくなってきたんですが。
「よっと」
とりあえず持てる分だけ持っていきますか。

「なんでやねん」
つい、シゲ口調になっても仕様が無いと思う。
3回に分けて運んだ荷物を、最後のタオル取りに行ってた間に配られてた。
いや、それは良いんですけどね、配ってくれるのは。
ただ、なんでさも自分一人で作ったかのように配ってるんだろう。
別に良いんだけど。
とりあえず、持ってきたタオルを配ろう。
順々になるべく不自然にならない程度に遠くから配っていく。
素直にお礼を言ってくれるもの、黙って受け取るもの。
そして、こっそりと文句を言ってくるもの。
「山吹に重いもの用意させといて自分はタオルかよ」
「楽してんじゃねーよ」
無視。
渡すだけ渡して、次へ移動する。
同じようにそれを繰り返す。
なんとか、配り終えてちらりと山吹さんの方を見れば、何やら楽しくお喋り中。
ドリンク配り途中なんだけど?
はぁ、初めから期待はしてないけど。
それでも、良い意味で期待を裏切って欲しかったよ。
……無理か。
無理だよね、あからさまにAにしか配ってないもんね。
大丈夫か?と言わんばかりに視線を送ってる克ちゃんに、
大丈夫だと一つ頷いて配りかけのドリンクに手を伸ばした。

やっぱり、マネージャーなんて断れば良かった。




NEXT

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送