都選合宿



やっと洗濯が終わり、夕食を食べようかと思って食堂に入れば騒がしかった。
「何事?」
不破の横へ座り、そう聞けば事情を説明してくれた。
「ヘタクソねぇ」
なるほど、そんなことがあったのか。
「其れは禁句だよね」
始めは誰だってヘタクソだ。
それぐらい理解しているだろうに。
私の言葉に斜め前の席にいた藤代君が大きく頷いた。
「あれはキツイよー」
藤代の言葉に私と克ちゃんが頷く。
ちなみに王子はオロオロしてる。
……ヘタレめ。
でも、この場合は。
「風祭君も悪いよね」
そういって、不破から渡されたジュースに口を付ける。
どうやら、不破は私の分の食事もトレイにとって来てくれていたようだった。
「えー、なんてだよちゃん」
藤代君の声と複数の視線。
なんで、他のテーブルの人までこっちの話聞いてるんだろう。
「だって、食事中にボールなんてマナー以前の問題じゃない?」
そう答えた後小さくいただきますと手を合わせる。
其れを見た後不破も同じ動作をする。
待っていてくれたのか。
「あーうん、たしかに」
そうかも、と納得してくれる藤代君。
興味がそがれたかのように他の視線もなくなる。
「まぁ、どっちもどっちね。
水野君気になるなら行ってこれば?」
そう目線を合わせていえば、嗚呼と慌てて席を立った。
素直なんだか、そうじゃないんだか。
「そう言えば、克ちゃん」
口の中のものを飲み込んで名前を呼べば、ん?と返事が返ってきた。
「お母さんが会いたがってたよ」
「おばさんが?」
「うん、克ちゃんの料理が恋しいってさ」
克ちゃんが寮に入ってからそうそう会えてないもんね。
「そうか、じゃあこんどお邪魔するって伝えておいてくれ」
「克ちゃんならいつでも歓迎ー」
たぶん、お母さんが帰してくれないと思うけど許してね。


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