少年がになった後

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目の前で起こったことなのに、何処か客観的に見ている自分がいた。
倒れた風祭君に駆け寄る都選抜のメンバープラスシゲ。

あわてて、西園寺さん・松下コーチ・水野君・シゲ、そして風祭君が病院へ行った。
「俺も行く!」
ちゃんも、はやく!と腕を引っ張ってくる藤代君。
それをやんわりと離す。
ちゃん?」
「私は行かない」
私の台詞に、都選抜のメンバーに動揺が走った。
「なんで!だって、風祭がっ」
今すぐにでも、走り出しそうな藤代君。
他にも何人か飛び出しそうにしている人はいる。
「でも、私が行っても何も出来ない」
だから行かない。
そういうと、藤代君はそっかー、そうだよね。と落ち込みつつも落ち着いてくれたようだ。
そして克ちゃんに慰められてる。
どうやら他の人も落ち着いたようだ。
「翼さん、悪いんだけど翼さんは病院に行ってくれないかな?」
「……僕が行っても何も出来ないよ」
少しふてくされた様に言う翼さん。
「違うよ、翼さんには只、西園寺さんについていてもらいたいだけ」
私がそこまで言うと、あっと翼さんは静かに声を漏らした。
「わかった、後は頼んだよ」
そう言うとつばさんは一目散に走り去った。
そう、風祭君も確かに心配だけど、今はそれよりももっと心配なのは西園寺さんだ。
途中で交代させ無かったことを悔やんではいないだろうか。
自分を責めてはいないだろうか。
とりあえず、西園寺さんのことは翼さんに任せるしかない。
私は私の出来ることをしなければならない。
そう思い私は榊さんに歩み寄った。
「榊さん」
静かに呼ぶけれど、反応はない。
「榊さん!」
今度は少し大きめに呼ぶ。
するとようやく反応が返ってきた。
「榊さん、ご指示を───……」



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