出会いとまり




「ない!!」
掃除から戻ってきた渋沢は、鞄をがさごととあさりながら泣きそうに叫んだ。

前々から、物が良く無くなるとは言っていた。
初めは、ドジだなっと笑っていた俺だったがさすがにおかしい。
あまりにも無くなりすぎだ。
日に日にヘタレていく同室の男に、俺は仕方がないので対処することにした。
相談したのは、同じクラスの
クラスで一番初めに仲良くなった彼女は、サッカー部を見に来ているような女達とは違った。
というよりも、関心がなかっただけかもしれない。
実際、渋沢のことも知らなかった!(これには驚いた)
話がそれたが、は頼りになる奴だ。
いや、たぶん。

「なぁ、
お隣のに話しかけた。
「何?」
は視線を黒板に向けたまま、返事をする。
他の奴なら、文句の一つでも言ってやろうと思うがなら話は別だ。
こいつはこういう奴だ。
入学して今までで十分分かった。
「依頼していいか?」
それはよろずやをやっているに依頼するときのキーワードだった。
「で?ご用件をどうぞ」
屋上に来た俺にはそういった。
「……俺と同室のやつなんだが、最近持ち物が良くなくなって困っているらしい」
「誰?」
「お前、しらねーのかよ!」
有名だろ!
「知らん」
まじかよ!
はぁ〜。
俺はつい、ため息をはいた。
「とにかく!たぶんファンの奴らの仕業だと思う」
「それを止めさせればいいのね」
相変わらず、話が早いな。
悪かねーぜ、お前のそういうとこ。
「りょーかい」
「報酬は考えとけ」
そういって、俺はその場を去った。


それから、一週間。
「今度は何盗られたんだよ?」
俺がそう聞くと、今にも泣きそうな顔で『大事なもの』と答えた。
一体何かは分からないが今にも泣きそうな表情を見る限りよっぽど大切な物なんだろう。
どうしようとおろおろしている渋沢に俺はどうして良いか分からなかった。
そんなときに、がやってきた。
「渋沢?」
確かめるようにが声をかけた。
「君は?」
今にも泣きそうな渋沢。
「三上ん、任務完了」
俺の方をみて、そう不敵に笑った。
「え、えっと?」
訳が分からずに、俺とを見比べる渋沢。
「初めまして、よ。三上んの依頼でね、君の持ち物を盗った人たちを調べてたの」
そこまで言うと、渋沢はぱぁぁっと周りに花をまき散らすかのような笑顔で俺に飛びついた。
「離れろ!」
とりあえず蹴ってはがした。
……おい、こら、笑ってんじゃねー!
「とりあえず、犯人は分かったよ。これ証拠の品。渋沢は気を悪くするだろうけどね」
そういって、写真の束とカセットテープを俺に渡した。
「あと、これ盗られた物も取り返しておいたから」
今度は、渋沢に紙袋を手渡した。
渋沢は、中を見て『大切なもの』が合ったのか、再び笑顔に戻ってを見た。
「ありがとう!!」
ぶんぶんと音が鳴るかと思うくらい、の手を取って振った。
「で、報酬は決まったかよ?」
「んー、それがねぇ」
は歯切れが悪そうに言うと、ちらりと渋沢を見た。
何だ?
「三上んが『同室の男』としか言わなかったから、ちょっとわかんなくて桜に、ね」
ああ、新聞部の山吹か。
「んで?」
「なんか、今度の特集が渋沢らしく……」
「写真撮ってこいって、ってか?」
俺がそういうと、はコクンと頷いた。
「だとよ、渋沢」
訳の分からないといった表情で俺とを見る渋沢。
いい加減、手離してやれよ。
「もちろん、それくらいなら!!」
いくらでも、撮ってくれ!
渋沢はそういって、笑顔で答えた。
「本当に?ありがとう」
笑顔で返したに、渋沢は花を咲かせた。
あーあ、完璧に気に入られたな、


その後、の録ったテープを聞いて渋沢がに懐いたの言うまでもない。

 END

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