ルとハチマキ




今日のラッキーカラーはグレー。
そんなわけで今日は、グレーの帽子をかぶってご出勤☆
といっても、アルバイターなんだけどね。
自分の通っている学校からは結構離れた所に位置するコンビニ。
其処が私のバイト先。
最寄りの学校は聖ルドルフ。
よく学生達がやってくる。
今日も今日とて、少年が商品を持ってやってくる。

ウィーンという音と、ばたばたとした足音に反応して
半ば反射のようにいらっしゃいませ〜っと声を出す。
だいぶこのバイトにも慣れてきたなと、一人しみじみと思いながらも表には出さずに仕事をこなす。
「涼しいだーね!」
……だーね?
「クスクス、あたりまえでしょ。
あんまりはしゃがないでよ、恥ずかしいから」
赤いハチマキを巻いた少年がアヒルくんに注意する。
結構きついんだね、君って。
それにしても、休日って言うのに部活だなんてマメだなぁ。
ああ、そう言えばうちの弟も今日部活だって言ってたなぁ。
テニス部はやはり練習が厳しいものだろうか。
「えっと、何個だっただーね?」
ペットボトルの前でだーねくんがハチマキくんに尋ねる。
「観月がいらないって言ってたから、5本で良いんじゃない?」
「そうだっただーね、じゃあ適当に選べばいいだーね」
そう言いつつペットボトルを5本選んでレジに向かってくる二人。
一生懸命だーねくんがペットボトル5個を抱えてやってくる。
ハチマキくんは手伝ってあげないんだね。
「おねがいするだーね」
嬉しそうにレジの上に商品を置くだーねくん。
笑いそうになりつつも、次々とバーコードを読み取る。
「735円になります」
そう言うと、財布を取り出したのはハチマキくん。
なるほど、役割分担なのだろうか。
「これでお願いします」
1000円札を出されたので、おつりとレシートを返す。
「ありがとうございました」
そして頭を下げる。
「早く戻らないと、観月がおこるだーね!」
ありがとうだーね!とあわてて商品をつかんで出て行く。
一方、ハチマキくんはありがとうと言って静かに後を追っていった。

「ねぇねぇ、きいてよ!」
「何ー、ちゃん?」
「今日さ、バイト先に『だーね』って喋るアヒルと長いハチマキ巻いてる人みたんだよー!」
「なにそれ、すっごい気になるんだけど!」
「テニス部だと思うから会う機会あるんじゃないかな?」
「うわー、俺すっごい楽しみ。
練習試合とかしないかな?」
「あっ、それ良いねー。
私見に行きたい」
「明日提案してみよー☆」

今日も平和です。

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20.5では「観月さん」って呼んでるんだけど、敢えて「観月」で。



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