夢見ると馬鹿兄貴



「芥川慈郎くんだ」
そういって、父に紹介されたのはふわふわの髪の少年。
綺麗。
それにかっこいいんだと思う。
けどな、けどな。
「寝んなボケ!!」
すぱーんと、すばらしい音が室内に響いた。


事の起こりは、おとんとおかんが(とくにおかんが)朝から珍しく機嫌が良かった所から始まる。
そんで、おかんに『今日ははよ帰って来ぃや』って言われて、
HR終わってすぐ帰ったんがあかんかったんや。
そうや、あそこで友達らの誘いに乗ってカラオケ行ってプリクラ撮って、
それから帰れば良かったんや。
素直に帰ってしまったうちを待っとんたんは、異様に笑顔のおかんと、
その雰囲気に飲まれ気味なおとんやった。
何故かそのまま飛行に乗る羽目になって、一路はるばる兄のいる場所へ。
空港からタクシーで来たのはなんだか高級そうなマンション。
そこの中にとうされて……、冒頭に戻る。

「ぐーーー」
あんなにいい音がしたにもかかわらず、芥川慈郎とやらは寝っぱなし。
向こうのお父さんも苦笑してる。
ってことは、これが日常なんやな。
「ともかく、。その芥川慈郎くんがあんたの婚約者やから」
……。
はい?今ものすっごくさらっと言ったやろ、おかん。
「ちょ、ちょお、どういうことなんおかん!!」
「どういう事も何もそのまんまや」
「そんなん聞いてへん」
「そやから今言うたやろ」
「ちょっと……。おとんも、どういう事なん!?」
「いや、その、な」
「ともかく、あんたの婚約者が彼で、今日からあんたはここに住む。文句は言わさへん」
「ここに住むって、この人と一緒にとか言わへんやろな?」
「何言うてんの一緒に決まっとるやろ」
「なんでうちが見ず知らずな人と一緒に住まなならんのや。そもそも学校はどないすんねん」
「ああ、あんた明日から氷帝学園生や。よかったな〜」
「よくないわ!!何勝手に決めてんねん」
「……文句は言わさへん言うやたろ?」
にっこりと笑っとるけど、目がわろうてへん。
こんなときのおかんには、逆らわれへん。
結局、おかんはおとんと、芥川夫妻を連れて出て行ったしまった。
どないせぇ、言うねん。
芥川慈郎とやらは未だに寝てるし。
「なぁ、なぁ、起きてぇな」
ぺちぺちとたたいてみるけれど、芥川慈郎は、んーっと寝返りを打つだけ。
なんで、こんなに可愛いねん。
凹みそうになるわ。

あーもー、しゃーないなぁ。
そう思い制服のポケットから取り出したんは携帯(ちなみに兄貴と色違い)。
アドレス帳のNo.0には、半強制的に登録された兄貴の番号。
それを選んで発信ボタンを押す。
ちなみに芥川慈郎、未だに爆睡中。
『もしもし』
「もしもし、ゆー兄?」
『どないしたん?電話なんかめずらしいやん』
「ゆー兄は知ってたん?」
『なにがや?』
「(認めたくないけど)うちの婚約者のことや」
『……』
「ゆー兄?」
『なんやてー!!、婚約者ってどういう事やねん!!
聞いたるから早うお兄ちゃんに言うてみ』
「ちょお、落ち着いて」
『これが落ち着いてられるかいな。ええか、、お兄ちゃん今からそっちに帰るからな。
すぐやから待ってるんやで』
「あの、その、ゆー兄。うち今東京おんねん」
『はぁーーー!?どういうことやねん』
「その、おかんに連れてこられてん」
『今何処おんねん、今すぐ行くから!』
何とかうろ覚えだけれども、特徴と部屋番号を言った。


ピーンポーンピンポーン
しつこいぐらいに鳴るインターホンにあわててドアを開けると思いっきり走ってきたであろう兄貴。
クールぶってる普段の兄貴からは想像もつかないほどの慌てようで思いっきりうちの腕をつかんだ。
痛いんじゃ馬鹿兄貴。
「大丈夫か!?」
「大丈夫、やけど。とにかくあがって」
「で?相手の男は何処や!」
「それがな、寝てんねん」
「……はぁ?」
なんやねんそれ〜とゆー兄は先ほどから寝ていた芥川慈郎に近づいた途端、固まった。
「何で慈郎やねん!!」
しばらくの間固まってた兄貴がいきなり叫んだかたと思ったら持ってる鞄で思いっきり芥川慈郎をたた

いた。
うちが言えることでもないけど、そないにたたいて平気やろか?
「んー?あれ〜〜??」
そこでやっと目が覚めたらしい彼は目をこすりながら上半身を起こした。
そしてうちと目があった後、にっと笑うと芥川慈郎。
「あれ〜忍足〜?」
彼はもしかしなくても、ものすごくマイペースなのかもしれない。



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20.5の設定をかなり無視した形になっています(^^;


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