ぼっちまと私



私の中で何が一番の間違いだったかって?
あの日跡部に出会ったことだと思う。
というか、それ以外には思いつかない。
一方的に懐かれ無理やり親友もどきになった氷帝の帝王跡部景吾。
その関係は今でも続いている。

…ある日のことだった。
その当時の跡部には多分友達と呼べる存在がいなかったんではないだろうか。
何時も側にいる樺地くんは無口だったし、友達と言うよりはお供と言った感じだった。
だから跡部は「親友」と言うものがどう言ったものか分からなかったのだ。
そんな跡部を微笑ましく思ったのか不憫に思ったかは知らないが、
跡部の家の者が跡部にこっそりとあるものを手渡したのだ。
そう、『少女漫画』を!
何を考えてるんだ、跡部家につかえてる人達は。
その中身は言わずとしれた友情もの。
それを見た跡部は私にこういった。

「今から『景ちゃん』って呼ぶことを許してやる」
フンっと妙に嬉しそうに跡部景吾はそうのたまわった。
鞄の中の教科書やら筆箱やらを机の中に入れようとしていた私は思わず固まった。
教室からは黄色い声が上がった。
いきなり何を言い出すのだろうか、この男は……。
「はぁ!?」
数秒後、やっと声を出すことが出来た。
「嬉しいだろう?
うれしくないわー!!
というか、何時の間に名前で呼び捨てされてるの?
「あの……跡部?」
そう言った途端、不機嫌そうにアーン?と睨まれました。
「『景ちゃん』だ」
「だから、跡部?」
「『景ちゃん』」
その言葉しか繰り返さない跡部に私はため息を一つついた。
「景ちゃん?」
そう言うと、ものすごく跡部の機嫌が上昇した。

後に私はその『少女漫画』を跡部の部屋で発見し、誰から貰ったのかを聞く羽目となる。

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